1. リフトアップ手術の種類と特徴

   本章では、代表的なリフトアップ手術であるフェイスリフト、スレッドリフト、内視鏡リフトなどの術式ごとの医学的特徴と違いを解説しています。とくにSMAS層までアプローチするフェイスリフトの持続性やリフト効果について、国際的な形成外科学会の報告を基に説明。糸リフトなど切らない手術との比較を通じて、適応や効果の限界についても明示しています。

2. リフトアップ手術の効果と持続性

   手術によるたるみ改善の具体的な変化や、どれくらいの期間効果が持続するのかを、臨床研究データと患者満足度調査に基づいて説明しています。術後のフェイスラインやシワ改善の視覚的変化だけでなく、MRIや3Dスキャンによる測定など、客観的なデータを用いた改善効果の検証にも言及。手術内容と効果の関係を明確に理解できます。

3. リフトアップ手術に伴うリスクと失敗例

   リフトアップ手術に潜む代表的なリスクについて、実際の症例報告や学会発表のデータをもとに解説しています。神経損傷や皮膚壊死、感染症、非対称など、手術によって起こり得る具体的な問題とその頻度を紹介。また、糸リフト特有のトラブルであるリップリング現象にも触れ、術前の理解の重要性を強調しています。

4. リフトアップ手術の費用とダウンタイム

   国内のリフトアップ手術にかかる費用相場を術式ごとに解説するとともに、麻酔費・再診料なども含めたトータルコストの把握方法について紹介しています。あわせて、フェイスリフトやスレッドリフトにおける術後の腫れ・内出血・回復期間の目安を明示。社会復帰までのスケジュールを具体的に想定できるように整理された章です。

5. 信頼できるクリニック選びと術後ケア

   手術の成功に直結する「医師の選び方」や「安全なクリニックの基準」について、学会所属の有無や症例提示の透明性といった観点から解説しています。さらに、術後のケアとして必要な処置や、感染予防・スキンケアの注意点なども網羅し、手術後のトラブルを防ぐための具体的な知識が得られる内容です。

リフトアップ手術の種類と特徴

リフトアップ手術には、いくつかの代表的な術式が存在しており、それぞれに明確な適応や効果が医学的に確認されています。
最もスタンダードな術式は「フェイスリフト」で、特にSMAS（表在性筋膜）を引き上げる手術は、皮膚だけでなく筋膜層にもアプローチするため、高いリフト効果と持続性が実証されています。
アメリカ形成外科学会（ASPS）の発表によると、SMASリフトは約8〜10年程度の効果持続が認められており、深いシワや広範囲のたるみに対して特に有効とされています。
一方、「スレッドリフト」は切開を行わず、吸収性の糸を皮下に挿入して組織を引き上げる手法です。
厚生労働省で承認されているPDO素材などの糸は、生体吸収されるまでにコラーゲンの生成を促す作用があるとされていますが、効果の持続は1年未満から長くても2年程度と報告されており、SMASリフトと比較するとリフト力と持続性は限定的です。
さらに、前額部やこめかみ部に内視鏡を用いてリフトを行う「内視鏡フェイスリフト」は、従来の手術より傷跡が小さく、若年層や比較的たるみの軽度な方に適していますが、対応可能な範囲は狭くなります。
術式の選定は、医師の診断と患者の状態によって適切に判断されるべきものであり、一概に「どれが優れている」とは言えません。

リフトアップ手術に伴うリスクと失敗例

リフトアップ手術は医学的に確立された技術である一方、合併症のリスクがゼロではないことも理解しておくべきです。
フェイスリフトでは、皮膚の下にある顔面神経に近い部位を操作するため、一時的な神経麻痺や感覚の鈍化が生じる可能性が報告されています。
日本形成外科学会の学会誌でも、一過性の神経障害は2〜4%の確率で発生し得るとされており、回復には数週間から数か月を要する場合があります。
また、皮膚の血流が手術により一時的に阻害されることで、特に耳の後ろや顎下で皮膚壊死が起こるケースもあり、喫煙歴や糖尿病などの基礎疾患がある方はそのリスクが高まるとされています。
感染症に関しても、切開を伴うフェイスリフトでは、適切な抗菌薬投与と無菌管理がなされていない場合、創部に腫れや発赤が生じる可能性があります。
スレッドリフトでは、糸の挿入位置が浅すぎる、あるいは過剰な引き上げによって、皮膚表面に凹凸が現れる「リップリング」という現象が起きることがあり、日本美容外科学会でもこの現象に関する報告が複数存在しています。
いずれの手術においても、信頼できる医師の選定と、十分なインフォームド・コンセントを受けることが、リスクを最小限に抑える鍵となります。

信頼できるクリニック選びと術後ケア

リフトアップ手術を安全に、かつ高い満足度で終えるためには、信頼性の高い医療機関を選ぶことが不可欠です。
日本形成外科学会や日本美容外科学会の正会員として登録されている医師が在籍しているかどうかは、ひとつの判断基準となります。
これらの学会では、一定の実績と倫理基準を満たした医師しか登録されておらず、学術的知識と技術力を持つことが保証されています。
さらに、クリニックの公式サイトやカウンセリング時に、ビフォーアフターの症例が適切に提示されているか、術後のフォローアップ体制が整っているかを確認することが、術後トラブルの回避にもつながります。
手術後のケアとしては、抗生物質の内服、冷却処置、安静指導などが基本的に行われ、術後の来院スケジュールも計画的に組まれます。
また、日常生活への復帰時期や、化粧・洗顔などの再開時期に関する指導も重要です。
腫れや内出血が完全に引くまでの間は、適切なUVケアや刺激の少ないスキンケアを行うことで、術後の回復をスムーズに進めることができます。
信頼できる医師とクリニックを選ぶことが、最も安全で確実な美容医療の第一歩です。

まとめ

リフトアップ手術は、顔のたるみを根本から改善し若々しい印象を取り戻す美容医療の一つであり、フェイスリフトやスレッドリフトなどの術式ごとに持続性や適応が異なります。フェイスリフトはSMAS層にアプローチすることで5〜10年の効果が期待され、糸リフトは比較的軽度なたるみに対応しますが持続期間は1年前後に限られます。手術による効果は臨床的にも確認されており、フェイスラインやシワの改善がMRIや3Dスキャンでも証明されています。一方で、神経損傷や皮膚壊死、糸のリップリングといった合併症のリスクも報告されており、術式選びと医師の技術が重要です。費用は施術内容により大きく異なり、フェイスリフトで100万円以上、糸リフトで数十万円が一般的で、ダウンタイムもそれぞれ異なります。安全かつ満足度の高い手術には、学会所属の医師の在籍や術後ケアの体制が整ったクリニックの選定が欠かせません。